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淡島神社の流し雛(芦名)

三浦半島の西側、横須賀市芦名地区の淡島神社では、3月3日に流し雛神事や縁結びを願って底の抜けた柄杓の奉納が行われます。

・開催場所 :淡島神社(横須賀市芦名)
・開催日時 :3月3日
・行事内容 :流し雛
・備考 :2010年訪問

*このページは過去の訪問記録です。
*日時、場所、行事内容が変更されている場合があります。

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* 淡島神社の流し雛訪問記 *

・淡島神社の流し雛について

横須賀市芦名地区の淡島神社の写真
淡島神社

芦名地区の丘の上にあります。
女性の神、淡島様が祀られています。

三浦半島の西海岸、芦名地区(横須賀市)の海岸沿いの高台に淡島神社があります。淡島神社は紀州(和歌山市加太)の女性の神、淡島明神を勧請した神社で、女性のための神として多くの人に崇められています。

ここ淡島神社では淡島信仰に基づき、毎年3月3日に例大祭が行われ、祭礼の一環として流し雛が行われます。流し雛と言っても各自が願い込めてお雛様を川などに流すのではなく、ここの流し雛は約40体のお雛さんが乗った小さな船を海に流し、それをモーターボートで引っ張るといった流し雛です。

少し変わった流し雛になりますが、これは本家の和歌山加太の淡島神社に習った行事で、1990年から始まり、今ではすっかり三浦半島に春を告げる風物詩的な行事となりました。

淡島神社の流し雛 玉石と底抜け柄杓の写真
玉石と底抜け柄杓

この日は拝殿前に置かれ、縁結びや安産祈願が行われます。

流し雛が有名になってしまいましたが、ここで古くからひな祭りの日に行われていたのは底の抜けた柄杓に麻を結んで奉納する風習です。

底抜け柄杓を奉納する風習は房総半島、三浦半島、伊豆半島などの海岸沿いで見かける風習で、悪鬼に柄杓で水を入れられて船が沈まないようにと奉納されるのが一般的です。

ここではそれが淡島信仰と結びつき、3月3日の日に「あわせてください淡島様よ、お礼参りは二人づれ」と底抜け柄杓に麻を結んで奉納して縁結びを祈願します。

淡島神社の流し雛 お参りの様子の写真
お参りの様子

ちょっと刺激的なお参りです。

縁結びだけではなく、本来の女性特有の病の救済信仰だったり、「水が抜けるように安産」といった安産や子宝祈願としても奉納されています。

拝殿前の祭壇に柄杓を奉納するのですが、その祭壇の上には玉石や男性器を模した神体がドカンと祀られています。なんていうか、臭い物に蓋をしない神社といったところでしょうか。

淡島神社の流し雛 針供養の写真
針供養

針供養のための豆腐も置かれ、多くの古い針が納められていました。

また淡島様といえば針供養でも知られています。針供養もこの日に行われ、祭壇に置かれた豆腐には針を刺す人、瓶でまとめて納める人もしていく人の姿もありました。

・行事の様子

淡島神社の流し雛 拝殿での祈祷の写真
拝殿での祈祷

まず拝殿で出発式とお祓いを行います。

淡島神社の流し雛 巫女さんによって運ばれる雛舟の写真
巫女さんによって運ばれる雛舟

巫女さんによって神社から浜の神事場に運ばれます。

神社の例大祭は早い時間に行われたようで、流し雛の神事は拝殿で神職によって雛人形にお祓いを済ますと、すぐに巫女さんによって木製の船に載せられた雛人形が神社下の海岸へ運ばれていきます。

神社は階段を上った高台にあるので、船を持ちながら階段を下りていくのは大変そうでした。

淡島神社の流し雛 浜辺の神事場の写真
浜辺の神事場

多くの人が見守る浜辺の神事場へ到着です。

海岸の浜辺には四方をしめ縄で囲まれた結界が設けられていて、祭壇に運んできたお雛様が乗った船を設置します。

そして多くの人々が見守る中、宮司によって神事が行われます。

淡島神社の流し雛 祝詞奏上と神楽の写真
祝詞奏上と神楽

祝詞を奏上する間、後ろで神楽を舞います。

淡島神社の流し雛 祝詞奏上と神楽の写真
祝詞奏上と神楽2

あれ、どこ行くの・・・。

淡島神社の流し雛 祝詞奏上と神楽の写真
祝詞奏上と神楽3

前屈運動・・・。

淡島神社の流し雛 祝詞奏上と神楽の写真
祝詞奏上と神楽4

とぃや~・・・・。

神事は普通なのですが、面白かったのが神楽です。

祭主が祝詞を奏上している時にもう一人の神職が後ろで神楽を舞うのですが、まるで祝詞の邪魔をしているようにちょこまかと動き回ります。

右へ行ったり、左へ行ったり、かがんでみたり。急に踊りだしてみたり・・・。見ている方が、落ち着きなさい。と声をかけてしまいたくなるような迫真の舞でした。

そのうち宮司が振り向いて「コラッ!神事の間はじっとしていなさい。」と注意するのでは・・・などとドリフのコントのような場面が思い浮かべてしまい、思わず吹き出しそうになってしまいました。

淡島神社の流し雛 出航の写真
出航

雛舟を曳航して沖に出ていきます。

神事が終わるといよいよ流し雛。浜にボートが接岸され、宮司や巫女、関係者が乗り込んでいきます。そしてお雛様が乗った船が海に浮かべられます。

ここは小泉議員の地元で、毎年参加しているようです。ボートに乗るイケメン議員に浜から黄色い声がたくさん飛んでいました。

淡島神社の流し雛 色紙撒きの写真
色紙撒き

人形の代わりに願い事を書いた水溶性の紙を海に撒きます。

お雛様の乗った船にはてぐすが取り付けられていて、モーターボートに曳航されて湾内を三周します。その際に、穢れや災いを託した雛型と呼ばれる紙人形が神職や巫女さん、役員達によって海に巻かれます。もちろん水に溶けるといったやつです。

淡島神社の流し雛 海上を進む船の写真
海上を進む船

浜からだと逆光となるので、光の中といった感じです。

浜からだと夕日をまともに受けての逆光になります。水面の反射がキラキラとし、その中で紙を撒いている様子はちょっと神秘的な光景でした。

淡島神社の流し雛 流し雛を見守る人々の写真
流し雛を見守る人々

多くの人が浜で流し雛を見守っていました。

浜辺からボートが湾内を周る様子を見ることができ、浜辺では多くの人が見守っていました。といってもボートが浜に寄ってきたときだけ子供たちがはしゃいでいるといった感じでした。

淡島神社の流し雛 浜の様子の写真
浜の様子

3周目になると関心を持って見ている人も少なくなっていました。

淡島神社の流し雛 帰港の写真
帰港

湾内を3周したら漁港に戻ります。
小泉さんの握手会になっていました・・・。

船に載せられたお雛様はそのまま海に流してしまうと不法投棄となってしまいますので、なるべく人目に触れないようにこっそりと持って帰り、後日焼却されます。

・感想など

淡島神社の流し雛 子供たちと流しびなの写真
子供たちと流しびな

自分で流すほうが楽しいかもしれませんね。

流し雛といえば各地の川などに小船やさん俵などといったお雛様を自分で流す行事というのが一般的ですが、船で本物のお雛様を船に乗せて海に流すというのは本家の紀州淡島神社以外ではたぶんここだけです。

なかなか大がかりで手が込んでいる流し雛なのですが、やっぱり人が流すのを見るのよりも各自で流すほうが行事として盛り上がるかな・・・と浜の子供たちの様子を見ていて思いました。

流しびなを含めてここ淡島神社の例大祭は、縁結びの底抜け柄杓を奉納する風俗や安産祈願等が行われるなどなかなかユニークです。どちらかというと大人のひな祭りかなと感じました。

淡島神社の流し雛 風の旅人 - 2010年訪問

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* 情報、アクセス等 *

・淡島神社の流し雛の概要

・開催日時2020年3月3日(火) (例年3月3日)
・開催場所淡島神社と海岸(神奈川県横須賀市芦名1丁目18−29)
・行事内容祭礼、流し雛神事
・スケジュール午後1時から祭礼、午後3時半から流し雛神事
・アクセス等JR逗子駅、京急新逗子駅からバス 「前田橋」バス停から徒歩8分程度。駐車場は不明。近くにないかもしれません。
・備考ーーー
・関連サイト

*訪れる際には最新の情報を入手されることをお勧めします。

* 地図 *

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