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高石神社の流鏑馬のパンフレット
風の旅人 祭り、イベント訪問記

高石神社の流鏑馬

百合ヶ丘駅近くの高台にある高石神社では新春に歩射が行われています。古式に則って行われる様子は時代絵巻を見ているかのようです。

・開催場所 :高石神社(川崎市麻生区)
・開催日時 :成人の日
・行事内容 :弓神事
・備考 :2010年訪問

*このページは過去の訪問記録です。
*日時、場所、行事内容が変更されている場合があります。

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* 高石神社の流鏑馬訪問記 *

・高石神社の流鏑馬について

高石神社の流鏑馬の写真
高石神社社殿

高台にあり、眺めのいい神社です。

小田急線百合ヶ丘駅の北側の高台に高石神社があります。地図で見ると駅から直線距離で300mぐらい。駅から近い立地ということになりますが、実際に歩いてみると、標高117mあり、歩くとけっこう疲れます。

そこそこ登るだけあって境内からの見晴らしはよく、すぐ隣にある高石見晴らし緑地からは百合ヶ丘の町などを見下ろせます。

この付近で行われる歩射神事は子之神社、長尾神社と続けて見て来ましたが、どこも丘の上。「高石神社、お前もか・・・」というのが訪れた時の最初の印象でした。

厄焼落しの碑 高石神社の流鏑馬の写真
厄焼落しの碑

義経伝説にまつわる厄払い神事が受け継がれています。

高石神社は天照大神を祀っている神社で、江戸時代には伊勢宮、明治になってから神明社、その後一村一社の勅令で付近の熊野社などを合祀し、地域の名を付けた高石神社と改称されました。

神社のある丘は、かつては多くの木々に覆われていて「伊勢の森」と言われていたそうです。現在では丘の大部分が住宅で埋まっていますが、神社のある頂上付近はまだ樹木に覆われていて、木々の多い境内には多数の句碑が並んでいます。桜の木が多いので春には散策をするのによさそうな感じです。

高石神社では例年成人の日(祝日)に五穀豊穣を祈願する「流鏑馬(やぶさめ)」が行われています。流鏑馬といえば、馬に乗って、駆けながら弓を的に射る行事を思い浮かべますが、ここでは馬には乗らず、人間が立ったまま矢を射る「歩射」形式で行われます。

江戸時代から続いている行事で、元々は名前の通り馬に乗って矢を射る流鏑馬形式で行われていましたが、農耕馬が少なくなり、馬を走らす広い場所もなくなり、現在の歩射という形式になりました。名前だけがそのまま残されたといったところでしょうか。

当日は午前10時から社殿で新年を祝う祈年祭が行われ、その後境内に設置された弓場で流鏑馬が行われます。午後1時からは麻生区剣道連盟奉納試合も行われます。

・行事の様子

流鏑馬へ 高石神社の流鏑馬の写真
流鏑馬へ

社殿内での神事が終わり、裃姿の人たちが流鏑馬会場へ向かいます。

弓場 高石神社の流鏑馬の写真
弓場

宮司や保存会のメンバーが左右に分かれて席に着きます。

社殿での新年を祝う祈年祭が行われた後、境内に設けられた弓場へ参列者が向かいます。

宮司は神官装束、役員や保存会のメンバーは直垂に烏帽子姿の人や、裃装束を着け、上番、下番の左右に分かれて座ります。袴を着た人がずらっと並んでいるので、境内が時代絵巻的な雰囲気となります。

弓の神事 高石神社の流鏑馬の写真
弓の神事

流鏑馬の前に宮司が鬼門と鬼門返しに弓を放ちます。

的へ 高石神社の流鏑馬の写真
的へ

最初に宮司さんが射ます。

歩射では、まず宮司が鬼門と鬼門返しにそれぞれ矢を放ちます。その後、的に向かって矢を射ます。

使われている弓は保存会の手製で、境内で育てたガマズミの枝を使って作ったものです。

的は歩射用の神事色の強いものではなく、射的用の形をした円形のものです。的が複数あることを含めて流鏑馬だった名残を感じられます。

直垂姿の方 高石神社の流鏑馬の写真
直垂姿の方

宮司さんの後は直垂姿の方が射ます。

宮司が射た後は直垂姿の人が射ます。村の代表といった役割になるでしょうか。

こういった行事では男児が主役になっていることが多いのですが、ここでは姿がありませんでした。

弓場の様子 高石神社の流鏑馬の写真
弓場の様子

裃姿の人が並んでいるので場に緊張感があります。

弓を射る様子 高石神社の流鏑馬の写真
弓を射る様子

空へ、地面へ射る所作をして的に射るのが正式のようです。

その後ずらっと座っている裃姿の保存会の役員の人達が順番に行っていきます。

弓は一人3本ずつ。傍に介添え役の人がいて弓を渡してくれます。保存会の人の中には古式に則って、空へ、地面へ射る所作をしてから的を射る人もいました。

袴姿の人がずらっと並んだ中で射る様子は武芸の試験とか、検分をしているようで、ちょっと緊張感があります。

弓を待つ人々の列 高石神社の流鏑馬の写真
弓を待つ人々の列

長い列ができていました。

保存会の人たちが終わると会場の椅子が取っ払われ、訪れた人が誰でも弓を射ることができます。小さな行事のわりには見物人が多いなと思っていたのですが、弓を射るために訪れていたようで、すぐにずらっと長い列ができていました。

年齢制限はなく、小さな子から高齢者まで幅広い世代の人たちが矢を射っていました。的が二つある事からも射的大会といった感じでしょうか。

お父さんと 高石神社の流鏑馬の写真
お父さんと

思いっきり引っ張った弦を放す瞬間は怖いものです。

お母さんと一緒に 高石神社の流鏑馬の写真
お母さんと一緒に

介添え役のお母さんと一緒に弓を引いていました。

行事には子供は登場しませんでしたが、射的に参加している子供の姿は多かったです。お父さんやお母さんに介添えをしてもらっていている様子は微笑ましく、行事本来の姿となるでしょうか。

訪れたときは気が付かなかったのですが、1人2本矢を放ち、1本でも的に命中すると、その年は無病息災で過ごせるといわれ、また神社から家内安全・開運の札をつけた破魔矢が貰えるようです。それでみんな真剣だったようです・・・・。

・感想など

お父さん頑張れ 高石神社の流鏑馬の写真
お父さん頑張れ

母親と子供が見守る中、射手を務めていました。

裃姿の人がずらっと並ぶ時代絵巻的な光景も印象的でしたが、新春の運試し、自分の腕で運を切り開こうといった感じで、多くの人が弓に挑戦している姿、そして長い行列が印象的でした。

やっぱり他人が的を射て豊作だ、不作だというよりも自分や家族が射た結果の方を信じたくなるのが人間というものですね。

高石神社の流鏑馬 風の旅人 - 2010年訪問

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* 情報、アクセス等 *

・高石神社の流鏑馬の概要

・開催日時2020年1月13日(祝) (毎年成人の日)
・開催場所高石神社(川崎市麻生区高石1-31-1)
・行事内容弓神事
・スケジュール10時から
・アクセス等小田急線百合ヶ丘駅より徒歩少々
・備考ーーー
・関連サイト

*訪れる際には最新の情報を入手されることをお勧めします。

* 地図 *

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