百段階段でひなまつり
奥久慈の大子町では一年に一度、十二所神社の百段階段がスケールの大きな雛段に変わります。この日に合わせて花嫁行列も行われるようになり、多くの観光客が訪れます。
・開催場所 : | 十二所神社、本町通り(久慈郡大子町) |
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・開催日時 : | 3月3日前の日曜(町内の雛飾りは2月中旬から) |
・行事内容 : | 雛飾り、雛めぐり、花嫁行列 |
・備考 : | 2012年訪問 |
*このページは過去の訪問記録です。
*日時、場所、行事内容が変更されている場合があります。
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* 百段階段でひなまつりの訪問記 *
・百段階段でひなまつりについて
茨城県北部、男体山や袋田の滝がある山間地域は奥久慈といわれています。その奥久慈の中心となるのが久慈郡大子町です。山間にある静かな地方都市といった感じでしょうか。この大子町では、ひな祭りに合わせて「大子町百段階段でひなまつり」が行われています。
このひな祭りは、大子町にある十二所神社の参道の101段の階段、通称「百段階段」にお雛様が飾られるといったイベントで、平成20年から始まり、徐々に大子のイベントとして定着し、今では広く世間に知られるようになりました。
近年では階段を利用してお雛様を展示するといった趣向は各地で見受けられますが、イベントが始まった頃はこういった大掛かりなものはほとんどなく、関東では勝浦の遠見岬神社の石段飾りが知られているぐらいでした。
このようなひな祭りをやるきっかけは、近年茨城の各地で流行している地域イベントのひな祭りを我が町でもやろうと地元商工会女性部方達が提案した事だったようです。その模範となる雛祭りを探すため各地の雛祭りを視察に行き、勝浦市の遠見岬神社の石段飾りに出会ったことで、十二所神社の百段階段を利用した雛祭りを思い付いたそうです。
ただ勝浦の場合、寄贈された多くのひな人形があったからあのような大規模な展示が行えるわけで、大子でそういった大規模な展示をいきなり行えるはずもなく、最初は町内の皆で持ち寄った雛人形を飾って楽しい雛祭りができれば良いという程度に考えていたようです。
その為、第一回目は百段階段を埋め尽くすほどまでには至らない小規模なものでした。しかし徐々に口コミなどで広がり、共感した人など県内各地から雛人形が集まり、第3回目にしてようやく最上段まで飾れるようになったとか。これでようやく胸を張って百段階段でひな祭りと言うことができ、第4回目はメディアの効果もあり、万単位の人が訪れるようなイベントになったそうです。
この百段階段でのひな祭りは地元商工会女性部の主催で行われています。当日は、階段脇のスペースで甘酒や温かいお茶のおもてなしや雛あられの配布などもあります。私が訪れたときはしゃも法度汁のサービスも行っていましたが、今では行われていないようです。
また近年では駅前通りを昔ながらの花嫁行列が練り歩くイベントも行われるようになり、階段飾りとともに行事の目玉となっているようです。
・行事の様子
お雛様は十二所神社の鳥居からの参道と101段の階段に約千体が飾られています。ここのいいところは下から雛段を見上げるだけではなく、階段の真ん中が通路として開放されているので、雛人形を間近に見ながら階段を登ることができる事です。
階段は混雑緩和のため登りの一方通行になっていて、すぐ脇にあるスロープから下るようになっています。途中で立ち止まったり、写真を撮ったりする人が多いため、列の進みは非常に遅いです。混雑しているタイミングに訪れてしまうとちょっと待つことになります。
雛飾りはきちんと並べられている場所もあれば、三人官女がうじゃうじゃいて30人官女のハーレムってな状態になっていたり、五人囃子がずらっと並んで50人囃子のオーケストラ演奏になっていたりと、まあ多くのひな人形を寄せ集めて並べているのでこうなってしまうのもしょうがないことでしょうか。
全体的には段雛をそのまま階段で再現しているといった感じで飾られているので、段飾りが続く長い階段といった感じでした。
階段以外にも大子町の商店街などにさりげなくお雛様が飾られています。ここ大子町の町並みは、真壁や結城のように蔵が並んでいたり、旧家が並んでいたりといった雰囲気はないものの、落ち着いた雰囲気で、昭和の町並みといったところでしょうか。のんびりと人形を捜しながら散策をするにはいい感じです。
少し散策してみた感じでは、ここでは雛人形よりもケースに入った大きめの市松人形の方が多かったです。商店街の展示でも雛人形よりもよく目にしました。
市松人形がアクセントといった感じで、クラシックな町並みにさりげなく飾られている様子はどこか懐かしい情緒を感じます。
・少し足を延ばして
大子町の少し東には名瀑と名高い袋田の滝があります。高さ120メートル、幅73メートルもの大きさをほこる滝はとても迫力があり、人気の観光地となっています。冬には凍結して氷瀑となることでも知られていますが、この時期だと余程の寒波でもこないとちょっと厳しいでしょうか。
氷瀑は期待薄ですが、百段階段でひなまつりと同じ日には袋田の滝のひなまつりも行われていて、こちらでも階段に600体のひな人形が飾られます。時間等の都合がつくのなら合わせて訪れるといいでしょう。
・感想など
ここのいいところというか、感動的なのは、ひな祭りかそれ以前の日曜日の一日しか行われていないことです。準備する人達もこの一日のために、一年間人形を丁寧に保管して、そして当日は朝5時ごろから3~4時間かけて千体の人形を並べていきます。
並べるだけならいいのですが、必要なものは補修し、また保管するためにしまわなければなりません。たった一日のために大変な労力をかけて行っているひな祭りなのです。
しかし、当日に雨が降ってしまうと大切なお雛様を濡らす訳にはいかないので中止となってしまいます。強い風が吹いてもお雛様の雪崩が起きてしまうので、やはり中止となります。
そうなると一年かけて準備してきたことが報われなく、お雛様も日の下に出て、多くの人に出会う事ができません。我々観光客としても次の機会を待たなければなりません。
今までは幸いなことに中止にはなっていませんが、天気次第でお雛様に会えなくなってしまう・・・、まるで七夕のようなおひな祭りとでもいうのでしょうか。そう考えるととてもロマンチックに感じませんか。今後もこの日が晴れの日に恵まれることを願っています。
百段階段でひなまつり 風の旅人 - 2012年訪問広告
* 情報、アクセス等 *
・百段階段でひなまつりの概要
・開催日時 | 2020年3月1日(日)(例年ひな祭り前の日曜日) ・町内の雛飾りは2月上旬~3月3日 |
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・開催場所 | 十二所神社、本町通り(茨城県久慈郡大子町) |
・行事内容 | 雛飾り、雛めぐり、花嫁行列 |
・スケジュール | 9~15時(階段展示)、13時花嫁行列 |
・アクセス等 | JR水郡線「常陸大子駅」から徒歩数分、臨時駐車場あり(シャトルバスも運行されます。) |
・備考 | 雨天、強風の場合は中止になります。 公式サイトにパンフレットダウンロードや駐車場の案内が載っています。 |
・関連サイト |
*訪れる際には最新の情報を入手されることをお勧めします。
* 地図 *
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