佐渡島一周ツーリング記2003 タイトル

佐渡島一周ツーリング記
#15 赤亀岩と猫神様

2003年8月、友人と2人、1泊2日の行程で佐渡島一周を試みた時の旅行記です。(全17ページ)

広告

24、猫神様との出会い

味噌工場のあった羽茂大橋の集落を後にすると、北上を再開した。素敵な町並みとの思いがけない出会いは感動的だ。他にもここのような面白い集落があるかもしれない。そう期待しながらバイクを走らせるものの、興味を惹かれるような集落はなく、また特に観光地となっている場所もなく、予定通りに下側の真ん中付近にある赤泊の集落に到着した。

赤泊の港 佐渡島一周ツーリングの写真
赤泊の港
イカ釣り漁船 佐渡島一周ツーリングの写真
イカ釣り漁船

ここ赤泊は特に観光地といった場所ではないが、比較的大きな港と集落があり、長岡市寺泊からのフェリーも発着している(*2018年廃止)。何か観光客が満足するようなものがあるかもしれない。古き良き町並みが残っているかもしれない。バイクから降りて少し歩いてみるものの、特に興味を引くものはなかった。

朝から宿根木、たらい舟、味噌工場とえらく個性的なものを見てきたので、普通の佐渡の町並みや港を見てもあまりビビっとしたものを感じなくなっている。まあ、しょうがないといえばしょうがない。先を急ぐことにした。

地理院の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

赤泊からもいい風景や町並みがあれば止まって・・・と思いながら走るものの、ここから先は集落が少なく、同じような風景の連続だった。おかげで止まる機会やキッカケがなく、一気に佐渡島の下側部分の右上部、姫崎付近まで移動することとなってしまった。

この下側の北側にある半島部分には、ちょっと名が知れた赤亀岩がある。っていっても、心境的には「また亀の岩がある・・・」といった感じ。本当に佐渡には亀の岩が多い。

でも、今日はまだ亀の岩を見ていないな・・・。昨日はたくさんの亀の形をした岩を見たので、もう亀岩は十分といえばそうなんだけど、今日も見ておかなければ佐渡観光ではない。といった変な義務感も少し感じていたりする。どうも佐渡にくると、亀の呪いに掛けられてしまうようだ・・・。

地図を見て悩むイメージ(*イラスト:suisuiさん)

(*イラスト:suisuiさん 【イラストAC】

観光マップを見ると、風島弁天と赤亀岩が重なっている。風島弁天に赤亀岩があるのかな。ということで、風島弁天に立ち寄ったのだが、ここに赤亀岩はなく、もっと先にあるようだ。なんだ。もうちょっと先か・・・。紛らわしい・・・。と、友人の手前、間違えたのを観光案内所でもらった地図のせいにしておく。

バイクから降り、ヘルメットまで脱いでしまったので、このまますぐに立ち去るのも悔しい。風島神社にでもお参りしておくか。と、小さな神社の中を覗いてみると、びっくり。なんと神様がお昼寝をなされていた。

風島神社のニャンコ 佐渡島一周ツーリングの写真
風島神社のニャンコ

そのお姿は、猫。佐渡には猫神がいらっしゃるのか。これは尊い。この猫神様に引き寄せられて、我々はここにやってくることになったのだろう。旅の上級者である私が地図を見間違えるはずがない・・・。そんな突拍子のないことを想像できるのが、偶然の出会いの面白いところ。旅をしていて一番楽しい瞬間だ。

それにしても・・・、猫神様が座布団の上でお昼寝をされているのだが、座布団から頭だけ中途半端に落ちている。ちょっと抜けた・・・、いや、奔放な神様のようだ。

どうにも気になってしょうがない。「頭が落ちているけど、大丈夫でしょうか?」「頭とお尻を逆にした方がいいのではないでしょうか。」と、猫神様に提言してみるのだが、「大きなお世話だニャン。早く立ち去れニャン!」と、鋭い目でにらまれ、急いでバイクに戻った。

ふ~、ビックリした。でも、なかなか面白いものが見られた。間違えてここに来てよかったな。こういった偶然の出会いは旅をしていて本当に楽しい。

25、赤亀岩と佐渡一周の完遂

風島弁天近くの赤亀岩 佐渡島一周ツーリングの写真
赤亀岩

岩の真ん中に穴が開いています。

再びバイクにまたがり、数百メートル先にある赤亀岩に向かった。赤亀岩に到着してみると、海の中にある岩の固まりといった感じで、真ん中にぽっかりと穴が開いていた。

特徴的な岩といえばそうなのだが、昨日からこういった種類の岩は山ほど見てきたので、感動はあまりなく、君は穴が真ん中に開いているのね・・・と、ちょっと冷めた心境。しばらくは少々の岩を見ても感動しない自信がある。

この島には干潮の時間帯なら歩いて渡ることができるようだが、残念ながら今は潮が引いていないので、陸から見るだけ。ここから見る限り、どう頑張っても亀に見えない。毎度のことながら佐渡の亀岩は難解だ。

二人で考えるイメージ(*イラスト:poosanさん)

(*イラスト:poosanさん 【イラストAC】

どの角度で見たら亀に見えるのだろう・・・。今までのように見る角度を変えると、あらビックリ・・・といった展開になるかも。

ってことで、友人と角度を変えてみたりしながら考えるのだが、今回はさっぱりわからない。実際に岩に渡らないとわからないやつかも・・・。というより、いっそのことダンベル岩と名付けた方がふさわしいのでは・・・などと思ってしまう。

line

この後は、下側部分の右上の先端にある姫埼灯台などをバイクで走りながら見学し、ぐるっと海岸線を回って最初にフェリーが到着した両津港近くまで戻ってきた。

佐渡島を反時計回りにぐるっと一周したことになるので、これにて今回のツーリングの第一目標である佐渡島一周を無事に達成。めでたし、めでたし。

ゴールのイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん 【イラストAC】

とても長く険しい道だったな。感無量で涙が・・・。自分の足で旅している自転車乗りだったらそういった心境になるかもしれないけど、エンジンとガソリンで動くバイクだと、そこまでの深い感慨とか、感動はない。「無事に終わったな。」というホッとしような気持ちと、幾ばくの達成感があるだけだった。

佐渡島一周ツーリング記03'
#15 赤亀岩と猫神様
「#16 トキに会いに行く」につづく Next Page
広告
広告
広告