風の足跡 ~風の旅人旅行記集~

八丈島、三宅島卒業旅行記
#20 雄山の噴火口へ

<1998年3月>

友人と卒業旅行に向かったのは離島の八丈島と三宅島。3泊5日の行程で旅をしました。(全21話)

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20、雄山の火口へ

三宅島の地図 観光のイラストマップ
観光のイラストマップ(1998年)

以前は火口内にハイキングコースがありました。

三宅島の中央にあるのが雄山。三宅島の各所で起こった噴火の親玉というべき存在だ。

今なお活火山のままで、まだ現役で活動しています!とアピールしているかのように、遠くからでも山頂付近にちょろちょろと噴煙が上がっているのが見える。

でも現在は小康状態で噴火しないという話。観光マップを見ると、噴火口付近にハイキングコースが設置されていて、火口を散策できるようになっている。しかも山頂のすぐそばまで車で行く事ができる。

三宅島の観光の総仕上げに訪れておかないとな。ということで、阿古からは内陸に進路を取り、雄山の山頂を目指した。

*2000年の噴火前の話です。雄山は2000年に噴火をし、一時期全島民が避難しました。現在では火山活動が落ち着き、島の訪問は可能となっていますが、火口周辺は火山ガスが発生しているので立ち入り禁止区域となっています。状況は変わるので訪れる際には最新の情報を入手してください。

三宅島の地図 地理院の地図
三宅島の航空写真(1999年)

国土地理院地図を書き込んで使用

浅間山の鬼だし園のような溶岩大地の中につくられた道をずんずんと車で登っていった。

段々と大きくなる雄山。山頂付近からはやはり煙が出ていて、下から見たよりも噴煙が激しく上がっている気がする。近づいたからそう見えるだけなのだろうか。もしかして急に噴火する前兆が現れたとか・・・。

実際に噴火した跡を幾つも見て回ってきた後なので、モクモク上がる噴煙に対して、いつも以上に恐怖心を抱いてしまう。

不安になりながら進んでいくと、頂上近くの駐車場に到着。案内板によるとここから10分程度で山頂に行けるらしい。八丈富士とは大違いだな。今日は友人に置いて行かれる心配はなさそうだ。

それにしても車でここまで噴火口近くに行ける山も珍しい。活動している噴火口のすぐそばまで車で行けることに、驚いてしまった。

登山の様子 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
登山の様子

うっかりネガに光を入れてしまいました・・・。

車から降りると硫黄の臭いがツーンと鼻についた。周囲の風景は殺風景だし、誰もいない。その上、この硫黄の臭いと山から微妙に上がる噴煙。

登山自体は楽勝だけど、噴火の方は大丈夫だろうか・・・。こういう状況に慣れていないというか、勝手が分からないので、やはり少し不安になる。

でも噴火するなら噴火しますよといったサイレンが鳴ったり、大きな地震が起きたりと何かしらの予兆があるに違いない。

「大丈夫だよね。」「たぶん・・・。」友人と確認し、歩き始めた。やはりこういう時に友人が一緒というのは心強い。一人だったら不安で引き返していたかもしれない。

煙が出ている様子 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
煙が出ている様子
煙の上がる斜面 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
煙の上がる斜面

色々と不安になりながら友人と登山道を登っていった。横の方を見ると、地面のあちこちから煙が上がっている。そして風向きによっては硫黄の臭いがきつくなる。

そして足元からは時々「ゴォーゴォー」という地響きがしてくる。かなり不気味な響き方だ。まるで山のお腹が鳴っているかのよう。生贄となる若者が来たぞ!ってな感じで、いきなり足元に穴が開き、食べられてしまったりして・・・。

雄山の火口付近1 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
雄山の火口付近1

この辺りが噴火口になるのでしょうか。

雄山の火口付近2 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
雄山の火口付近2

荒涼とした感じの場所でした。

頂上付近に到着してみると、八丈富士のようなきれいなカルデラになっているのではなく、崩れかけた巨大なカルデラがあり、その中にいくつものカルデラができているといった感じだった。

次々と別の場所が噴火したのだろうか、それとも一度に多くの場所が噴火したのだろうか、中心付近は噴火跡同士で潰しあっていて、どこが一番の中心なのかがよくわからない。

周囲を見渡すと、起伏は激しく、地層もむき出しな状態。浸食が進んでいない荒々しい土地が広がっていた。なんかすごい光景だな。月世界みたい。普段見ることのない光景なので、感動もひとしおではない。

ただ、足元からは煙がもくもくと吹き上がり、強烈に硫黄臭く、足の裏が妙に暖かく感じる。焦げたホットカーペットの上を歩いているかのよう。

これは砂風呂ができそう。「服を脱ぎな。砂をかけてあげるから・・・。」「いや、火傷しそうだよ。」とまあ冗談が言えるうちはいい。

やっぱり気になるのが、相変わらず足元から「ゴォーゴォー」と地響きがしてくること。山頂に立ち止まるとより強烈に感じる。

「今、なんか揺れなかった?気のせいか。」「いや、揺れたよね。」「揺れた。揺れた。」「これってやっぱり噴火するんじゃないのか。」「いや、そんなことはないと思うけど・・・」半分顔を引きつらせながら友人と歩いた。

今日も強い風が吹いているけど、噴火の方が怖い・・・。

登頂記念 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
登頂記念

ガッツポーズの割にはかなり腰が引けています。

雄山からの眺め 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
雄山からの眺め

山頂らしき場所に登って記念写真を撮って雄山の登頂を達成。せっかくなのでハイキングコースを歩いてみたい気はするが、やっぱり地面からの地鳴りが気になってしょうがない。

八丈富士では強風に苦しめられたけど、やっぱり火山の方が怖い。今噴火したら、シャレにならないもんな。走って逃げれるものではないし・・・。

それよりも噴火する前に退散しよう。それが一番安全だ。何枚か写真を撮り、八丈富士の時と同様にそそくさと下山した。

大路池 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
大路池

緑に囲まれた大きな池でした。

雄山を後にすると、ずんずんと山を下って宿の近くの大路池を訪れた。見た感じは緑に囲まれた大きな池。山に行けばよくある池といった感じなのだが、この池も過去に起こった噴火の跡で、火口に水が溜まって池になったものとの事。

本当に噴火に関するものだらけだな。三宅島は。まるで島全体で火山博物館を形成している感じだ。そう考えると訪れるのには楽しいけど、実際に暮らしている人はまたいつ噴火が起こるか分からないから大変だろうな。10年後にこのような池が別の場所にできている可能性もあるわけだし・・・。

この後、海岸出でて海沿いにある長太郎池を見て三宅島の観光は終了。ガソリンスタンドでガソリンを入れて宿に戻った。やはり車での観光は楽だったな。

八丈島、三宅島卒業旅行記98'
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