風の足跡 ~風の旅人旅行記集~

八丈島、三宅島卒業旅行記
#17 たどり着いたら・・・

<1998年3月>

友人と卒業旅行に向かったのは離島の八丈島と三宅島。3泊5日の行程で旅をしました。(全21話)

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17、たどり着いたら・・・

気持ちよく寝ていると友人に起こされた。「もう着くよ」との事。そうか。着くのか。船に乗ってからは酔い止めがすぐに効いたようで、ずっと熟睡していた。

とりあえずよかった。無事に着いた。沈没もしなかったし、船酔いもない。さて下船の準備をするか・・・。ん!?寝ぼけた頭で起きあがったものの、なんだか友人の顔がいたずらっぽく笑っているのが気になる。これは何か隠しているな。

「どこに着いたと思う。」「???」「八丈島だよ。」

な、なんと戻ってしまったのか。八丈島に・・・。色々と覚悟を決め、頑張って船に乗ったというのに・・・。目覚めてすぐ告げられた言葉に愕然としてしまった。

まるで双六でスタートに戻ってしまった気分だ。また最初っからやり直しか・・・、悪い冗談だよ。本当に・・・。

八丈島の地図 地理院の地図
八丈島の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

一体何がどうなってこうなったんだ。少し混乱しながら友人に尋ねると、出航してしばらくしたら船が上下左右にすごい揺れて大変な状態になったとか。そして途中で、「波が高すぎて安全な航海が続けられませんので、八丈島に戻ります。」とアナウンスが流れ、こうなってしまったようだ。

そんな酷い状態だったんだ。全然気がつかなかった・・・。船が航海を続けられないというほどだからよっぽどひどかったに違いない。

って、もしかしてそのまま沈没していても気が付かずに私は寝ていたのか・・・。そう考えると酔い止めの薬も恐ろしいな。

いや、それよりもその揺れの中を平然と過ごしていた友人はなんなんだ。そのことの方が驚く。すごい平行感覚をしているな。

「一体どこでそんな才能を身に付けたのだ?」と聞くものの、本人も生まれつきかな・・・とよく分からない様子。過酷な移動の多い旅人にとって喉から手が出るほどうらやましい才能だ。

それにしても・・・、行く前に「八丈島に島流しだ。」と言っていたのが、現実となってしまったな。そう考えると笑ってしまうものの、できれば初めから船に乗らずに一日のんびりと八丈島で過ごしていた方が良かったに違いない。

そんなに悪いことをした覚えはないのだが、なんか罰ゲームみたいな一日だな。本当に・・・。

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桟橋から再び同じ宿に向かうと、宿のおばさんも船が戻ってきた事は既に知っていて「大変だったね」と笑顔で迎えてくれた。

お茶を飲みながら宿のおばさんと話をしていると、船が欠航となる事は珍しい事ではないけど、一旦八丈島を出発した船が八丈島に戻ったり、八丈島で船が一晩明かすという事は、連絡船が就航して以来初めての出来事だとか。

なんと我々は運がいい。地元の人でも経験したことがないようなことができたのだから・・・。って、強がってみても虚しいだけ。でもまあこう宿で落ち着いてから考えてみると、無料で荒波をクルーズできたので、ちょっと得したともいえるのかな。

この後も特にすることもなかったので、おばさんから八丈島の暮らしはね・・・離島の暮らしはね・・・という不便な話を色々と聞かせてもらった。いや聞かされたのかな・・・。

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おばさんとの話が終わると、友人とこれからどうしようかと会議。あまり動きたい気分ではないけど、まだ日が明るいから何かしなければ時間がもったいなく感じる。

ガイドブックや観光パンフレットをめくると、八丈島歴史民俗資料館が目に止まった。ここなら歩いて行ける。ちょっと行ってみるか。

友人とふらふらとした足取りで資料館へ向かった。相変わらず風が強いけど、少し収まりつつあるような気がする。明日は大丈夫そうかな。

八丈富士を見上げると、強い風と共に豪快に流れる雲が八丈富士にかかってきれいだ。写真を・・・・。あっ、カメラ宿に置いてきてしまった。なんだか頭の中もふらふらしている。

歴史民俗資料館のパンフ
歴史民俗資料館のパンフ

資料館を訪れると、古い建物の中に縄文弥生時代の遺跡の出土品やら島流しの流人文化についての展示があった。八丈島も色々あったんだな。島流し状態となって展示を眺めてみると、色々と実感できる部分もあったりする。

資料館を見たら他にすることがなくなり、宿に戻った。やっぱり揺れる船に長い事乗っていたので、体の調子がいまいち。宿でゆっくりしていよう。

今日は飛行機も強風の為欠航。八丈島では朝の飛行機(地元では1便と言っていた)で新聞とかが運ばれてくる。

飛行機が飛ばなければ、新聞などの生活物資が届かない事になり、一時的にしろ隔離された島になってしまう。また台風などで船が何日か運休となれば生活物資が届かなくなったり、人の行き来がなくなる。

昨日、スクーターで観光して周った時には、離島といっても道がいいし、スーパーはあるし、ちょっと不便なだけじゃないかと思ったけど、実際にこのような体験をしてみると、「離島で暮らすのは色々と不便なことも多いのよ」と宿のおばさんが言うのもわかる気がした。

予定外のアクシデントだったけど、離島で暮らす人の目線に少し近づくことができたいい機会でもあったのかな。夕食を食べながらそう思うものの、あんなに揺れる船にはもう二度と乗りたくないな。

八丈島、三宅島卒業旅行記98'
#17 たどり着いたら・・・
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