風の足跡 ~風の旅人旅行記集~

八丈島、三宅島卒業旅行記
#10 南原千畳敷での昼食

<1998年3月>

友人と卒業旅行に向かったのは離島の八丈島と三宅島。3泊5日の行程で旅をしました。(全21話)

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10、南原千畳敷での昼食

さて時間的には昼過ぎ。お腹もすいたし昼食にしよう。この付近は島の中心部となっているので、店が多い。手ごろな食堂を探しながらスクーターで走ってみた。

しかし普段都内で見かけるファミレスとか、コンビニといったものが一切ない。途中でも感じたのだが、観光客が手軽に食べれる場所がないというのがここの食事事情のようだ。

あるのはスナックを兼ねた喫茶店とか、居酒屋、そして民宿に併設された食堂ぐらい。大人の雰囲気が漂う喫茶店でスパゲティーというのもあれだし・・・。

いや、もしかしたら南国らしく素敵なマダムが相手をしてくれるかも。寅さんに出てくるリリーさんみたいな。でも大学生のひよっこだと敷居がちょと高いな。昼間だし、眠そうな顔で軽くあしらわれるのがオチだろう・・・。

普通の食堂に入って刺身定食というのも・・・。そもそも民宿に泊まっているので夕食はそういった郷土料理が出てくるはず。いい値段がするし、確実に夕食の満足度が2割減してしまう。夜の楽しみにとっておこう。

富士宮焼きそばとか、喜多方ラーメンとか、大阪や広島のお好み焼きみたいに、気楽に食べられる「ザ・八丈島」といったソウルフードがあれば迷うこともないのだが、特にそういったものもない。

この後は南原千畳岩に行く事にしているから、スーパーで弁当でも買って、手軽に済ませるか。荒々しい溶岩に囲まれながら食べれば雰囲気がなんでも美味しくしてくれるはず。そして安く上がった分は、夜のビール代にしよう。

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先ほど見かけたスーパーへ向かった。通り過ぎたときはそこそこ大きく見えたが、実際にスーパーの前にバイクを停めてみると、一番奥の棚の商品がはっきりわかるほど狭かった。

もしかしたら弁当は売っていないかもしれない。作戦をミスったか。最悪、菓子パンでも買おうと話しながら中に入ってみると、手頃な弁当が幾つか置いてあった。

意外と需要があったりするのだろうか。よくわからないが、お互い好みのものを購入した。そして後ろに乗る友人が斜めにならないように持ち、南原千畳敷に向かってゆっくりとバイクを走らせた。

南原千畳敷 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
南原千畳敷
沖に浮かぶ八丈小島 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
沖に浮かぶ八丈小島

南原千畳敷は荒々しい溶岩の海岸が続いている。八丈島の北側にそびえる八丈富士が噴火したときに溶岩が流れてきて、この地形ができたようだ。火山で形成された八丈島らしい風景の一つと言える。

到着すると海岸に設置されているベンチに座り、弁当を広げた。目の前は溶岩の海岸。沖には八丈小島が浮かんでいる。そういった自然味溢れる絶景の中で弁当を食べる。

本来なら幸せな昼食となるはずだったのだが・・・。いかんせん風が強い。バイクで走っている時も、時々風が強いなと感じていたけど、海岸に座るとかなり強烈に感じる。いや、さっきよりも強くなっているぞ、これ。

海岸の鳥たち 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
海岸の鳥たち

海岸で弁当を広げるものの、弁当を抑えていないと風で飛ばされてしまう。辺りにはビニールや弁当のふたなどを押さえる手ごろな石がたくさん転がっているのは幸いだけど、手に持っている弁当までも飛ばされかねない。

海を見ながらのどかで楽しいランチになるはずが、風と格闘しながらのランチとなってしまうとは・・・、ちょっと失敗したな。

海辺を見ると、こんなところでよく食べるな・・・と鳥がこっちを見ている。いや、何か飛んでこないかと待っているのか。

「あぁ~~」と友人が声を上げた。見ると、緑色の中身を分けているビニールが溶岩の海岸を飛んでいった。拾いに立ち上がろうとすると、今度は割りばしが・・・。こりゃかなわん。急いで弁当の中身を胃の中に流し込んだ。

波しぶき 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
波しぶき

結局、風が強すぎて海岸には5分程度しか座っていられなかった。物が飛んだり、体が冷えてきたのもあったが、波しぶきが風に混じって飛んでくるのが一番厄介だった。

眼鏡や髪などがべた付き始め、このままいると全身海水まみれになってしまう。ここで食べるというのは悪くない選択だったと思うけど、ここまで風が強いというのは計算外だった。

それにしてもこの風・・・。ちょっとおかしくないか。あまりにも強すぎる。もしかしてこのままどんどん強くなっていくのでは・・・と、強まる風に何かおかしいと懸念を感じた最初の時でもあった。

八丈島、三宅島卒業旅行記98'
#10 南原千畳敷での昼食
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