風の結晶 ~風の旅人エッセイ集~

~ カメラと写真についてのエッセイ ~

§4、旅の撮影術1(機材編)

せっかくの海外旅行だ。一生に何度も行けるものでもないし、準備はしっかりとしよう。ガイドブックは買ったし、観光する場所や郷土料理のおいしいレストラン目星は付けておいたし、そうだこの機会にカメラも最新のものに買い換えよう。このカメラも随分と古くなったしな、新しいカメラならよく写るぞ・・・。などと、旅行を機にカメラを買い換える人もいます。

一時期カメラの販売をしていたことがあり、売り場へ出ていたことがありますが、海外旅行に行く事になったのでカメラを買い換えたいのですが・・・。おすすめのカメラはありますか?海外で使うのに一番便利なカメラはどれですか?などといった質問をたまに受けました。

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普段から写真を撮っていて、それなりにカメラについての知識や自分のスタイルを持っている人なら海外だからとかで迷うこともないのでしょうが、普段あまり写真を撮らない人にとっては海外で使うのにはどういったカメラがいいのか。海外で同じように使えるのかといった勝手もわからないので、こういったちょっと不安な質問になってしまうのだと思います。

その他、せっかくの海外旅行だからワンランク上の機種、或いはこの機会にコンパクトから一眼レフの購入に踏み切ろうかなと迷いながら売り場へやってくる人もいます。このようにどういったカメラを旅に持って行けばいいのだろう。どの機材を持っていけばいいのかな。と悩んでいる方もいるかと思うので、ここでは私なりにちょっとだけアドバイスを書いてみました。

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フィルムとデジタルのコンパクトカメ

フィルムとデジタルのコンパクトカメラ

本体よりもフィルムと記録メディアの
大きさの差が大きいです。

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1、フィルムかデジタルか

デジタルカメラが登場して数年はデジカメかフィルムかで迷っているといった質問を受けましたが、近年ではデジタルカメラが主流となり、フィルムカメラを選択する人は極少数となりました。というより専門店以外ではフィルムカメラの新品が店頭に並んでいないというのが現状です。だからカメラを買い換える人のほとんどはデジタルカメラへの買い換えとなってしまいます。

フィルムカメラとデジタルカメラ。デジタル全盛のこの時期に未だにフィルムを使用している人は、滅多に写真を撮らないので買い換えの必要がなかった人か、デジタルが信用できない、或いはよく分からないという人、フィルムの画質にこだわりがある人といった感じでしょうか。昔あれほど店頭に多く並んでいたオートフォーカスのコンパクトカメラが売っていない現状では、普通の人が理由もなくフィルムカメラに買い換えるといった選択肢は難しく、中古屋で購入か、それなりの一眼レフ、或いは「写るんです」などになってしまいます。

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フィルムからデジタルへ買い換えるに当たっては、何が違うのですか?写りは違うのですか?撮り方が違うのですか?といった質問が多いのですが、まあ普通の販売員、特に家電量販店の場合は売ったらそれっきりといった感じなので、フィルムがいらなくなったので安上がりで、液晶画面でその場で確認できるので失敗しないとか、顔認証システムでピントもバッチリなどと、便利だぞ!簡単だぞ!失敗が少ないぞ!といいところだけアピールするような説明を受けるかと思います。

まあ実際そうなのですが、本当に素人向きで簡単なのはフィルムカメラの方だったりします。デジタルカメラ、特にコンパクトカメラの場合はピント、露出補正が非常にシビアです。その分液晶画面で確認できますが、なかなか素人には画面を見て露出などを補正して撮り直すというのは難しいというか、そういった感覚がないようで、色飛びした状態で写真屋に持ってくる事が多いです。

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そういったカメラ任せで適当に撮った状態で写真屋に持ってくるのはフィルムの場合も同じなのですが、デジタルの場合、いわゆる安いやつは簡単にいうと色の粘りがないので強い補正をかけると不自然な色合いになってしまいます。それに比べるとフィルム、特にネガフィルム(茶色いやつ)は色の粘りが半端ではないので少々露出が違っても補正でそれなりの写真になってしまいます。

絞りや露出補正のない「写るんです」でもそこそこの写真が撮れてしまうのはそのためです。だから今までカメラ任せに写真を撮っていて、それをちゃんとした写真屋に現像を任せていた人は、デジカメに買い換えてみたら「あれ、こんなはずじゃ」ととまどうことでしょう。

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フィルムカメラとデジカメは同じ写真を撮るカメラなのですが、根本的にシステムが違うのでデジタルもフィルムも同じカメラといった考え方をしない方が無難です。だからある程度デジタルの特性を学んでから旅に出ないと、うまく写真が撮れません。特に露出補正の部分です。それにファイルシステムやら保存方法とか、拡張子とか、色々と難しい言葉も知っておかないと何かあったときに対処できません。旅行の数日前にデジカメに買い換えて海外旅行ってな事はやめた方が無難です。

道具というのは使い慣れているのが一番。いきなり本番、しかも色々と勝手が違う海外での使用となると、最新式のデジタルカメラを買っても思い通りに写真を撮ることが出来なく、フィルムの方が良かったと後で後悔することもあります。特に最近のデジタルカメラは機能が多く、小さなボタンや画面での操作が煩雑で、慣れるまで一苦労という年配の方も多くいます。そしてやっぱりフィルムの方が簡単でいいわとフィルムを使用する人もいたりします。

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昔使用していたデジカメ

昔使用していたデジカメ

今ではほこりを被っています・・・。

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2、デジカメ(コンパクトカメラ)

旅にふさわしいカメラ、旅で便利なカメラはどれだろうか。やっぱり小さいほうがいいですよね・・・。こういった事はカメラの売り場でも聞かれるのですが、私の個人的な意見からすると、旅行だからというのではなく好みで選べばいいと思います。そもそも旅行に持って行くカメラを買いたいと売り場に来る方もいますが、結局、旅行の後は普通に使う事になるのだから、旅よりも普通に使う機会の方が長いのです。だからデザインが気に入ったものや好きなメーカーのものを選べばいいのです。

それに旅だからといって特別に写真の腕が上がるわけでもないですし、プロの使うようなカメラを持って旅してもいきなり写真家のような写真が撮れるわけでもなく、あくまでも日常の延長です。ぶっちゃけた話、いくら高級カメラを購入して旅に持っていったとしても写真をあまり撮らない人は旅でもそんなに撮らないだろうし、写真が下手な人はやっぱり下手なままなのです。

結局一番大事なのは、履きなれた靴を履いて旅をするべきというのと同じで、扱いなれたものが一番ということです。旅は一期一会。扱い慣れないカメラでシャッターチャンスを逃したり、写真がうまく撮れなかったというのは是が非でも避けたいところです。

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でも旅の機会に古くなったカメラを買い換えておきたいと考える人も多いはずです。結局どのカメラがいいの?最近ではいろんな種類のカメラがあり、どんな種類にしたらいいのか、またどこのメーカーがいいのか、どのような機能は最低限あった方がいいのかといったところが初心者の悩みというか、誰か詳しい人に背中を押してもらいたい部分になるようです。

同じような値段でも実に多くの選択肢があるのが現状です。これはカメラの部品の中でも値段の高いファインダーがなく、レンズもフィルムよりも小さいものをデジタルカメラでは使用できるので、安く、似たような値段で製造ができるのです。その中でも値段の高いものもありますが、こういったものはレンズの良さと素粒子の大きさに比例していると考えるのがシンプルです。

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もちろん同じ条件なら性能の良いレンズの方がしっかりとした輪郭の写真が撮れます。そして背景の細かい部分の描写もしてくれます。でも2枚並べて間違い探しのように分かるぐらいなら、わざわざ比較する必要もないかと思います。それに違いが分かったとしても、どちらがいいというまで分からないのなら、どれでもいいんじゃないの?ってことになるのではないでしょうか。

デジタルになってからというもの、カメラ自体で写真が出来上がってしまうのでメーカーによって色合いが若干違い、出来上がった写真の雰囲気が違うことがあります。でもまあそういった微調整はカメラの設定でもかなり修正できるので、やはり好みで選ぶのが一番いいかと思います。って事で、迷っているなら気に入ったデザインのものを選びなさい!とまあ無責任な意見に感じるかもしれませんが、これが一番の正論かと思います。

やはりカメラは一言で言うなら道具です。道具である以上、使いやすさが第一ですが、初心者にとってはまずは持ち歩いたり、写真を撮ることが楽しくなるようなカメラ、いわゆる所有感を満たしてくれるデザインや質感といったものが重要かなと思います。まあ一言で言うなら持ち歩きたくなるような相棒といった感覚になれるものを選んだほうがいいかと思います。そうしないと家に置きっぱなしになる事が多くなってしまいます。

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旅ならではといった事で真剣に考えているのなら、訪れる場所によっては防水機能の付いたアウトドア用のカメラがおすすめします。写りに関しては厳密に比較していないからよく分かりませんが、同じような値段帯のカメラとそこまで変わらないのではないでしょうか。ビーチを訪れる人、マリンスポーツや川下りなどをする人、或いは砂漠などの埃っぽい場所や多湿のジャングルなどといった過酷な場所を訪れる人にはカメラを壊す心配がなく使用できます。

そういう意味ではどこの国を訪れても使うことができ、壊す心配がないので最強の旅カメラといえます。場合によってはサブ機として持っていくのもありかもしれません。国内でも自転車で旅したり、サイクリングによく出かける人などで、雨が降っても大丈夫だし、自分の汗でぬれても大丈夫だし、これは楽だと使用している人が多いです。旅に適したカメラというと一番これがおすすめなのですが、普通の人に敬遠されるのもこういったカメラです。

客 「旅におすすめのカメラありますか?」
店員 「この防水機能の付いたカメラだとどんな場所を訪れても安心して使えます。旅に持って行くには一番おすすめです。」
客 「普通のカメラの方がいいのですけど・・・」
店員 「・・・・」
ってな事になるので、声を大きくして薦めませんが・・・。

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フィルムとデジタルの一眼レフ

フィルムとデジタルの一眼レフ

同じ一眼でもコンパクトと違って
デジタルの方が大きくて重いです。

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3、レンズ交換式カメラ(デジタル一眼レフ、ミラーレス)

旅に出る機会にコンデジから一眼レフ(デジタル一眼)やミラーレスにステップアップしようとか、カメラはほとんどいらったことがないけどこの際に一気に一眼デビューをしてみようと考えているいる人もいます。新しいことに挑戦するのはいいことですし、写真が趣味の一つにでもなれば旅の楽しみが増えるし、大袈裟に言うなら人生の楽しみが増える事になるかもしれません。だからそれはとってもいい事なのですが、よく考えてみた方が・・・といった忠告もあります。それを前々からやろうとしていたのなら他人がどうこう言おうが迷わず実行するべきだと思うのですが、単に思い付きならよく考えてみた方がいいかなといったようなアドバイスと考えてください。

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一眼レフでも値段はピンキリだし、ミラーレスの小型のものとか色々ありますが、一番大事な事は写り云々ではなく、カメラ自体がそれなり荷物になるということです。そしてそこそこ存在感があって、機種によっては重いのです。日帰りのレジャーならともかく、一週間の海外旅行などでは毎日持ち歩くのが結構しんどい重さとなりかねません。

写真を趣味にしている人はその重さは苦にならないのですが、写真は撮れればいいといった程度の認識の人には最初の数日はよかったけど、次第に持ち歩くのが面倒くさくなり、写真を撮らなくなってしまったといった本末転倒な事になりかねません。それに荷物もかさばります。普段はコンパクトカメラをポーチなどに入れて散策していた人は、一回り大きな鞄に買い換えたり、或いはカメラ専用のバッグが散策に必要になります。

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ミラーレスにしても本体はコンパクトカメラとそんなに変わらないけど、コンパクトカメラに比べてレンズの部分が出っ張っているので、やはり普段の扱いも慎重にしなければなりません。なんていうか、今まで以上にカメラが旅で存在感を放つというか、場合によってはカメラに振り回されることになりかねません。

だから旅をきっかけ購入する事にちょっと疑問符が付くのです。もちろんそれが旅に出る一ヶ月前とか、カメラの練習になりそうな日帰り旅行とかならいいのですが、海外旅行の一週間前とかに今まで一眼レフを持ったことのない人が購入するのはちょっと無謀に感じます。ある程度日常の扱い方、そして携え方、写真の撮り方に慣れないと旅行中に落としたり、ぶつけたりして壊してしまう可能性も高くなります。そうなるとせっかくいいカメラを持っていったのに写真が撮れなかったという事になりかねません。

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ということで一ヶ月以上前に購入し、その重さや扱い方に慣れておくことが大事かと思います。その他の備品にもお金がかかります。特に初心者はレンズに付ける保護フィルターは必須です。安いやつでいいので付けてください。

それから特にミラーレスの場合ですが、電池がどれだけ持つのか、どういった使い方をするとすぐ消耗してしまうとかをある程度把握しておかないと、一日の後半には電池切れで写真が撮れないといったことになりかねません。ミラーレスは機種や撮影スタイルにもよるのでしょうが、普通の一眼よりも電池の消耗が激しいです。いずれ技術が進歩して解消されるかもしれませんが・・・。

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デジカメと一眼レフとミラーレスの大きさの違い

デジカメと一眼レフとミラーレスの大きさの違い

ミラーレスの小ささは魅力ですが、
ファインダーの見え方がまだまだかなといった感じです。

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4、一眼レフとミラーレスとコンパクト

一眼レフは画質がいいのですか?コンパクトと比べて何が違うのですか?ミラーレスというのもあるのですけど・・・?といった質問も多いのです。一番のメリットはレスポンス(反応速度や写真を撮ることにストレスを感じない)がいいことです。

旅とはあまり関係ありませんが、小さい子供などの写真はコンパクトタイプではなかなかピントが合わなく、被写体がぶれたり、枠からはみ出した写真になりがちですが、一眼レフだとそういった写真が少なくなります。ミラーレスの場合は機種によるのですが、やっぱりコンデジ同様に液晶を見ながらといったものだと反応が遅いし、電子的なファインダーでの撮影でもタイムラグが気になります。

一眼よりは若干動いているものを撮るには不利です。なので子供の運動やら動いているものを撮りたいと考えているなら、一眼レフといった選択肢が現状では一番かと思いますが、技術の進歩は激しいのですぐにその構図が変わってしまうかもしれません。

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画質に関してはレンズの性能や素粒子の大きさなどで決まってくるのでなんともいえませんが、オートで撮る事を前提としているなら一眼レフ、あるいはミラーレスの方が画質が優れています(高級コンデジを除く)。どっちか迷っているなら一眼レフやミラーレスの方を薦めます。でもそれは子供の写真を撮ったりする場合で、旅で一眼の方がおすすめかといわれると必ずしもそうともいえないのです。

一眼レフ、ミラーレスと一般的なコンパクト。被写体を逃さないといった機能性や描写力(レンズに拠るところがありますが)を考えると一眼レフ>ミラーレス>コンパクトの順で写真を撮るのに優れていると言えます。それはプロの多くが使用していることからも分かるかと思います。しかし、必ずしも一眼レフの方が優れていると限らないのが旅の写真事情です。

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先に書いたように重たいカメラを持っていたら旅が楽しめない場合もあります。普段から旅先で食事の写真とかスケッチ感覚で気軽にその辺の物を撮っている人は食堂でごつい一眼レフを取り出すのに抵抗があるだろうし、今までの気軽さがなくなってしまいます。またそれなりの値段のカメラを持っていると盗難等の心配も出てきてしまいます。おどおどしながら写真を撮っていたらそれこそ写真を撮っている楽しさがなくなってしまいます。

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フィルムの全盛期、高級コンパクトの代名詞とも言われたコンタックスのTシリーズがあります。そのT3の店頭に貼られたポスターにT3でなければ撮れない写真があると書かれ、少女が微笑む写真が写っていました。これはこのカメラが優れているから他のカメラではT3のようなきれいな写真が撮れないよといったものではなく、一眼レフを向けたらこのように素直な笑顔をしてくれただろうかといった趣旨の物でした。

そういった事も旅をしていればありますし、逆に一眼の方が撮影に応じてくれたといった事もあるので一概にそうとは言えませんが、荷物をできるだけ少なくしたい山歩きやトレッキングなどにかさばる一眼レフを携えなくてもちゃんとした描写をするコンパクトで十分かなと感じることはあります。

そして小さいカメラだからこそ気兼ねなく撮れたり、撮らせてくれたりするといった場面があるのも確かだし、食べ物の写真や町中で見かけた小物などを撮るのには小さなカメラの方が気軽に撮れるといったメリットもあります。記録程度に撮れればいいやというなら、軽量、手軽、コンパクトなコンパクトカメラが最適ですし、もうちょっと画質をと望むならミラーレス、旅も写真も大好きというなら一眼、あるいはその人のこだわりのカメラになるでしょうか。

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一眼レフの交換レンズ

一眼レフの交換レンズ

気がつくと増えてしまうという不思議?

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5、一眼レフの交換レンズ

写真を趣味にするとレンズに対するこだわりが強くなっていくものです。所有するレンズが増えていったり、高級なものに置き換わっていったりと、レンズに対する物欲が収まらなくなていきます。愛好家などの間ではレンズ沼にはまっていくと言っています。一般的にというか、経験的にというか、衝動買いをした特殊なレンズ程使う機会が少ないと言えるかもしれません。魚眼とか、マクロとか・・・。

とまあそれはいいとして、中級者ぐらいになると自慢のレンズコレクションの中からどのレンズを持っていこうか。何本持っていこうか。そういった事に悩むようです。又初心者の人でも最初にセットで購入したズームレンズ、標準レンズだけとか、標準レンズと望遠レンズの組み合わせを一本で収まる高倍率ズームにしようかと悩む人もいます。趣向性か、利便性か、画質か、携帯性か、色々とレンズに対する悩みはつきません。もちろんこういうのは行く場所や期間、撮るものによって違うのでこれだといったアドバイスは難しいものです。

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高倍率ズームレンズ旅行といって気になるのは高倍率ズームの存在だと思います。高倍率ズームは一本で広い焦点距離をカバーできるので標準レンズと望遠レンズの2本持って行かなくて済みますし、レンズの交換もしなくていいと非常に便利です。携帯性、利便性を考えるなら旅にはこれしかないでしょといった感じです。ただその分画質などは目をつぶらなければならない部分があります。画質をとるか、利便性をとるか。普段からいいレンズを使っている人は悩むようです。

でも普通の旅でそんなに画質を要求するような場面はないはずです。例えば日本で写真愛好家の人が70-200のf2.8のレンズで撮影している姿をよく見かけますが、それを携えて楽しく海外旅行ができますか。そんな重たいレンズを携えて海外の10日間のツアーに参加できますか。どうしてもこれを撮影したいといったものがある場合とか、撮影目的の旅行なら分かるのですが、普通の旅行にそんな重たく存在感のあるものを携えていたら荷物を必要以上に気にしなければなりませんし、同行者からも疎まれます。場合によっては写真ばかり撮っていて旅を楽しんでいるなんて聞かれるかもしれません。やっぱり旅を楽しもうと思うならある程度趣味である写真の部分は割り切った方がいいのではないでしょうか。

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高倍率ズームが旅でお勧めとはいうものの、高倍率ズームもそれなりに大きいです。普段から望遠の領域を使用していたり、標準レンズを使っていて望遠が欲しいと感じている人には迷うことはないと思いますが、標準レンズの焦点距離でほぼ満足している人にはわざわざ望遠域を足すために出費をしたり、レンズが大柄になる必要はないかと思います。これはあくまでもその人の撮影スタイルによるものなので、全ての人に高倍率ズームがお勧めというわけではありません。

私自身も望遠はあまり使用しないので、最初は28-300mmの高倍率ズームを使用したものの、その次からは少し広角気味の24-120mmの標準レンズに替えました。私のように同じ買うなら高倍率ズームよりも標準域の明るいレンズや少し広角に寄ったレンズを購入した方がいいといった人もいます。個人的には旅によって使い分けれればいいかなと思っています。

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長い旅や移動の多い旅では利便性を。短い旅では趣向性を重視するようにしています。旅というのは自然風景や町歩きや建物内といろんなシチュエーションが起こりうるし、シャッターチャンスもいきなりやってくるものです。なかなか単焦点レンズや専門的なレンズで色んな場面をカバーするのは難しいものですし、それに対応するために多くのレンズを携えていたら旅の機動性が落ちてしまいます。旅を楽しみたいのなら写真はほどほどに割り切るほうがいいように思います。

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そしてこれは個人的な考え方ですが、高倍率ズームを持っていく場合、もう一本は足りない広角側ではなく、スナップ用の標準域の単焦点がいいかと思います。私自身の話ですが、高倍率ズームを使用して長旅を行ったのですが、途中から写真を撮るのが楽しくなくなってしまいました。厳密に言うならいい加減に撮るようになってしまいました。高倍率ズームの場合だと自分が動かなくてもある程度ズームを効かせて撮ることが出来ますし、レンズを交換する必要もありません。

レンズについて悩む必要がないのはいいのですが、写真を撮るのも作業的となってしまい、構図を捜す楽しみがなくなってしまったのです。そこで旅の途中で50mmの単焦点を購入し、写真の意欲を取り戻したといった事がありました。これは個人的な事例ですが、そういった事もあるので特に写真を趣味としている人は高倍率レンズだけというよりは、構図を捜す楽しみのあるレンズがあった方がいいかと思います。

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三脚やストロボ

三脚やストロボ

カメラが大きくなるとそれに比例して小物も
大きくなってしまうのが難点です。

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中上級者に関しては特にアドバイスの必要はないかと思います。自分の写真スタイルと旅での写真の位置づけを考えれば自ずと必要なものはわかるはずですし、必要となりそうなものだけを選んで持っていけばいいはずです。質問にしてもカメラのことよりも具体的な旅に関してのことが多くなるのではないでしょうか。例えばヨルダンのペトラ遺跡に行くのですが、何ミリを持っていけばエル・ハズデのいい写真が撮れますかといった感じです。フィルム時代はどこそこにいくのですが、感度100と400どっちを持っていったらいいみたいなことも聞かれましたが、今ではそれも無縁の世界となってしまいました。

ただ結構迷うのは、三脚とかスピードライト(フラッシュ)といったオプション品でしょうか。これは現地で持って来ればよかったとか、逆に帰宅後必要なかった・・・ということもあります。私の場合は確実に使う予定がある場合のみ持って行くことにしています。特に三脚は高画素機を使用していないのもあって滅多に持ち出しません。ほんの何枚かの写真のために重たい思いをしたくないからです。それこそ旅を楽しめなくなってしまいます。といってもそういった事は個人的な撮影スタイルに拠るので、まあこれはアドバイスのしようがないですね。

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<カメラと写真についてのエッセイ §4、旅の撮影術1(機材編) 2013年6月初稿 - 2015年9月改訂>