風の結晶 ~風の旅人エッセイ集~

~ ぶちぶち歯医者日記 ~

***  第13章 忍耐の歯根嚢胞  ***

右奥歯の集中的な治療を受けてから約1年後。その右奥歯に違和感を感じ始めました。その違和感はたぶん差し歯に挟まれた真ん中の歯。この歯は詰め物をしているだけで、まだ神経は無事の歯です。虫歯になってしまったのか。それとも詰め物がちょっとずれたとか。或いは昔もあった歯根幕炎かな・・・。右奥歯は神経がない歯が多いので、痛み出してもどこが本当に痛いのか。実際に何が起きているのか分かりにくいのが現状です。

もしかしたら大変なことになっているのかも・・・そう考えるとちょっと不安。前回はちょっと後手を踏んで神経を取るはめになってしまった事を考えると、早く歯医者を訪れた方がいい。さすがにこの歯まで神経を取るようになってしまうのは怖い。というより、これ以上歯の神経を取るようなことはしたくありません。治療も長引くし、お金もかかるし、全くいいことがないのだから。すぐに歯医者へ行く決心をしました。

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予約の電話をして、歯医者を訪れると今回も女の先生が担当でした。前回治療した張本人なので、話も早いはず。覚えていたらだけど・・・。ってまあ、あれだけ長い時間かけて治療を行ったので、その心配は無用でした。

診察するなりすぐに、これは虫歯ではなく、かみ合わせがずれて歯根膜炎になりかけているだけですねと原因を突き止めました。念のためレントゲンを撮ってみても虫歯ではなかったので、銀歯の詰め物を外すことなく削って歯のかみ合わせを調整するだけで治療が終わりました。

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なかなか適切な治療だったな。どんどんと名医になっている気が・・・。その後何度かかみ合わせを調整をしつつ、歯のクリーニングなどを行い、今回の治療が終わりました。ただ、最近なんか歯全体の神経がうずく感じがして、いまいち口の中がすっきりしないのが現状です。今回の痛みも他の部分が変な感じがしていたのが、右奥歯に移ってきたといった感じでした。

まさか下の親知らずが生えかけていたりしていないだろうな・・・。まあ私の口の中が絶好調といった状態であることが少ないので、いつものことと言えばいつものことなんだけど、やっぱりちょっと不安。一応歯は治ったものの色々と不安はつきませんでした。

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そしてその半年後、そういった不安が的中し、前歯の歯茎が突っ張った感じがし、時々キリッとした痛みもありました。昔、前歯を差し歯にしたときも前歯の神経が痛み出して歯全体の調子が悪くなった事があります。ここのところ口の中の状況が悪いと感じていたのは前歯のせいだったのかな。

唇をめくって鏡で見てみると、歯茎の部分にぷくっと膿がたまっているのが分かりました。うっ、膿が溜まっている・・・。今までこんなあからさまに膿が溜まるような事はなかったのに、一体どうしちゃったのだろう。そういえばヨルダンで歯の治療を受けたときは膿を出したら痛みが引いて調子良くなったという事があったな。膿を出すぐらいだったら自分でもできるから出しておくか。

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目に見えて膿がたまっている状況が嫌だし、針で突っつけば膿が出てきそうだったので自分でやってみることにしました。まず針を消毒し、歯茎の膿がたまっている部分におそるおそる刺すとぷにゅ~と膿が出てきました。まだ出てきそうだ。ティッシュをあてて押してみると結構大量。こんなに溜まっていたのか。

出し終わると気分はすっきり。痛みも突っ張った感じも1時間経つと解消し、これでめでたし、めでたし。って、よくないよな。この状態がいいわけがない。でもまあとりあえずのところは痛みとかが引いたからいいか。また溜まったら出せばいいし。

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2日ほどそのまま過ごしたのですが、やっぱり気になってきました。こういう時はインターネットだ。「歯茎に膿」なんて検索に入れて調べてみると、出てくる出てくる歯茎の膿のように大量に。結構一般的な症例のようでした。膿が溜まるのは正式には歯根嚢胞という病気で、神経がない歯でこういう症状が起きるとか。そして膿は歯の骨を溶かし、歯が抜けてしまうといった怖い事が書いてありました。

そしてどのサイトでも結論として「歯茎に膿がたまるのはよくないので、すぐに取り除いた方がいい」と書かれていました。膿なんてたまったら出せばいいや。少々膿があっても問題ない。なんて考えていたのですが、その恐ろしさを知ると今までの治療の経緯が恐ろしくなってきます。もっと早く膿を出しておけばよかった。歯まで溶かしてしまうほどの悪玉なんだ。無知とは怖い。

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早く歯医者に行こう。この事実を知って完全にビビリモードに入ってしまいました。それに前歯の神経が死んでいるのが分かったし、歯の骨が溶かされ、差し歯の土台となっている歯が抜けてしまったらそれこそ大変です。今回の治療では恐らく差し歯の交換となり、莫大な出費がかかってしまうけど、歯が抜けてしまうよりはましだ。腹に背は替えられない・・・。とまあ覚悟を決めて歯医者に予約の電話を入れました。

久しぶりのような・・・、この前来たのような・・・、半年後の再診は私にとっては微妙な間隔です。受付で保険証と診察カードを出すとすぐに診察室に通されたのですが、今まで見たことのない若い女の歯科助手が「今日はどうされたのですか?_」と聞いてきました。半年でも人の出入りがあるんだな。改めて人の出入りが激しい業界なんだなと思いつつ、前歯の歯茎に膿が溜まって自分で膿を出したことを告げると、「分かりました。」と問診票に幾つか記入して席を離れていきました。

ちょっと待つと男の声で「こんにちは」と言われ、そっちを見ると昔よくお世話になっていた男の先生でした。「あっ、こんにちは」と挨拶すると、すぐに治療が行われました。あれっ、女の先生は・・・。他にスカウトされたとか。独立開業・・・結婚退職・・・育児休暇・・・?ん、まあいいか。で、患部を見るなり、「これは神経が腐って膿が溜まっていますね。歯根嚢胞という病気です。治療は歯に穴を開けて神経の部分をきれいに掃除していかなければなりません。」と言われました。

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今回は予習してきたので、その病名は調査済み。知っているというのはなんかうれしい。いや、こんな事で喜んでいる場合ではない。なんか事態は深刻そう。すぐさま差し歯の裏側にドリルで穴を開け、針金のようなやつでグリグリとほじくる治療が始まりました。それが終わると薬を詰めて、蓋をして終了。「しばらく悪いものを取り除いていく根管治療を行います」と告げられて治療が終わりました。

さすがに根管治療もこれで4本目なので、まあ慣れたもの・・・。いや、正直言って「またか・・・」といったうんざりとした感じです。またしばらくは歯医者生活、とりわけグリグリ生活が始まるのか・・・。歯医者から帰る足取りは重いものでした。

一週間後訪れると、今度は女の先生がいて、女の先生が治療をしてくれました。前回はちょうどお休みだったようです。主治医に変わったといっても治療はグリグリとするだけ。そして一週間後もグリグリとされ、その一週間後もグリグリとされました。

一ヶ月経っても歯茎の突っ張った感じが治らないし、キリッとした痛みを感じるときもあります。もちろん最初に比べたら随分と楽になったのですが、なんか治りが悪い。その次の治療では今回は少し穴を大きくしますと穴が広げられ、同じようにグリグリとされました。詰めていた薬も替えるようですが、これは見えないのでよく分かりませんでした。

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それから二度ほどグリグリとしてもらいに行ったのですが、やはり突っ張った感じが治りません。グリグリやっている先生も深刻そうな顔で「悪いものを出しているのですが、まだ収まる気配がない」とのこと。申し訳なさそうに言っているのをみると、やっぱり文句を言う人が多いのかな。毎回グリグリされるだけの治療が続くのは面倒だし、「直らないよ!」って歯医者の先生に当たりたくなるものだしな。

治療が始まって二ヶ月たった頃、あまりにも治りが悪いので、今度は差し歯を外して治療を行ってみると告げられました。そして差し歯ががりがりと削られ、外されました。久しぶりに外される差し歯はやっぱり強烈な悪臭を放っていて、口の中が気持ち悪い事。外してみると土台の歯も少し虫歯になっていたようで削り、今までと同じようにグリグリとされました。今日は最後に仮歯を造りますと、プラスチックを器用に固めて前歯を作ってくれました。

これがなかなかいいできで、今まであった歯とさほど変わらない感じでした。さすがに表面のつるつる感はないものの、なかなかやるもんだ。しかしながら会計で診察料とは別に仮歯代として千円請求される事となりました。

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一週間後訪れるときには今までよりも痛みというか、突っ張った感じがなくなっていました。差し歯を外した効果があったようです。ただ完全に引いたわけではなく、いつ痛み出してもおかしくないような感触でした。改善は見られるものの、さすがに二ヶ月以上もグリグリとやって完治する気配がないのはしんどいものです。

先生もそろそろ頃合いだと思ったらしく、治療の最後に歯茎を切って穴を開けてそちらから膿を出すようなことを行うかもしれませんと言ってきました。まあ歯茎を少し切るようなことなら今まで何度も行ったし、大したことないだろう。それで治りが早くなるなら歓迎かな。といった感じで話を聞いていたのですが、どうやらちょっと穴を開ける程度の事ではなく、なんか思いっきり切って、後で縫うといった大がかりな治療になるそうだ。それは・・・、嫌だな。でもこのままずっとグリグリされ続けるのも嫌だ。とりあえず今日は説明だけで終わりましたが、なにやら雲行きが怪しくなってきました。

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その一週間後、仮歯を外し、いつも通りグリグリと治療を行った後、女の先生は男の先生を呼びに行き、ずっと根の治療をしても膿を出しきれなく、治療のめどが立たないようなことを説明し、歯茎部分を見せて切るべきか相談し始めました。そして男の先生が「このまま時間をかければ治るかもしれませんが、どれくらいかかるか分かりませんので、積極的に切って膿を出して治した方がいいかもしれません。」と言ってきました。

手術などの説明を聞くと、どうやら思いのほか膿が溜まっている部分が大きく、歯の方から出すのには限界があり、切った方がいい結果になると思うとのこと。治療は歯の部分から液体を流し込んで切った部分から膿を押し出すといった感じになるそうです。そんなに難し手術ではなく、当日歯茎が腫れる程度のものらしい。

入院するとか、2、3日食事ができないとか大きな手術じゃないなら挑戦してみてもいいかな。何より先の見えない治療は嫌だ。「分かりました」と返答すると、「来週か再来週にそういった手術を行うので、治療日とその翌日に検査をするので時間をください」と言ってきました。とうとう手術をする事になってしまった。また歯医者の経験値が上がりそう・・・。

とうとうやってきた手術の日。先生はたいした手術ではないから大丈夫と言うけど、もちろん不安なのでインターネットで色々調べてみました。書いてある体験談は様々ですが、舌をかむ方が痛かったとか、最初の麻酔が痛いだけであっという間に終わったといった話が多く、先生の説明通りそんなに苦痛を伴わない手術のようです。術後もその日のうちから普通に暮らせたといった体験談がほとんど。総合的に考えると手術と大袈裟に言っているけど、普通に歯を削る治療とそう変わらない感じのようです。

それなら安心だ。そう言い聞かせて歯医者に向かいました。診察室に通されるとまずは麻酔を打つので表面麻酔の薬を挟まれました。その後、先生が来て、麻酔を打ちますと治療が始まりました。恐怖の前歯の麻酔。昔、前歯の麻酔で強烈な痛さを体験したことがあるので、どうしても身構えてしまいます。ただ今回は痛いには痛いけど、うめくような痛さではなかったのでまずは一安心。

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麻酔が効いた頃、男の先生と女の先生の二人体勢で執刀が行われました。これは心強い。まずは唇をめくって歯茎の辺りをゴニョゴニョと・・・。恐らくレーザーメスで歯茎を切っているのだろうけど、感覚がないので何をやっているのかよく分かりません。よく分からないけど調べたとおりで痛くない。これなら安心。何も考えずにじっとしていよう。無心モードに入りかけたのですが、いきなり歯茎を強く押されたと思ったら、ドリルの音が聞こえてきて、歯茎内の骨か何かを削っている感触が伝わってきました。

うっ、何をやっているのだろう。ドリルの音がやんだと思ったら、また「歯茎を押します」とぐいぐいと力を入れて押され、うぐっとうめきたくなるような状態。これが何度も続けられるから溜まりません。ちょっと切って、薬を入れるだけではなかったのか。一体どういった状態になっているんだ。何か恐ろしいことになっているのかも。見えないから不安も倍増。もしかしたら口が血だらけになっておぞましい状態になっていたりして・・・。何をやっているのか分からない不安から冷や汗が出てきました。

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最初の内はまだ良かったのですが、徐々に患部が上の方へ移ったのか、唇が大きくめくられ、それが鼻をふさぐものだから息苦しい事この上ない。舌をかんだ方が痛かったとか、麻酔が一番辛かったとか、ありゃなんだったんだ。全然違うではないか。確かに麻酔が効いているので凄い痛みはないものの、ごりごりと削られる嫌な感触に、押される圧迫感。そして息苦しいし、治療が長いし、これは結構苦痛だぞ。

もうそろそろ終わりにしてくれ~。泣き言を言いたくなった頃、「終わりました」と女の先生が言ってくれ、力の入った状態から解放されました。やっと終わったんだ。それにしても辛かったな。痛さはないけど、ごりごりとやられた感触が未だに残り、治療した歯茎とこめかみの辺りが不快感満点な状態。なんというか、精根尽き果てて放心状態で椅子に座っていました。

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仮歯を固定する時間を利用して女の先生から説明がありました。なんでも予想以上に膿が溜まっている嚢胞が大きかったこと。そのため予定よりも大きく、三カ所切ったこと。膿が歯の先端部分を溶かしていて骨がなくなっていたこと。その部分を切除したこと。そこに骨が再生するように薬を詰めたこと。抗生物質と鎮痛剤の薬を三日分付けるから飲むこと。これから3時間は食べたり、運動したり、体や歯に負担がかかることはしないことといった説明を受けました。

やっぱり重傷だったんだ。それであんなに長い治療となったんだ。ごりごりと削られていた感触は内部の骨をとっていたんだ。でも骨って再生するものなのか。歯は抜けたらよみがえらないものだけどな。いや骨折したらひっつくしな。まあよく分からないけど、再生するものなんだろう。とまあ仮歯を固定するために綿をかまされて口がふさがっているし、あれこれ聞く精神的余裕もなかったので納得しておきました。

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受付でお金を払うと薬を三日分渡され、明日患部の確認のために何時でもいいので来てくださいと念を押され、帰路につきました。診察代は結構な値段がかかってしまったけど、まああれだけの治療だったし、薬とかも高そうだし、しょうがないと納得することにしました。また歯に余計な出費がかかってしまった現実に頭が痛いけど、歯に関しては治療を受けないと改善しないのだからしょうがない。

歯医者を後にすると、特にすることもないのでスーパーによって買い物をして帰宅しました。一応弁当をスーパーで購入しておいたものの、食べるとしても夕方だな。どのみち今は食欲があるわけでもないからいいや。帰宅してふ~と落ち着いていたら急にズキズキと歯茎が痛み出し、それがこめかみにまで伝わってきました。これはまずい。麻酔が切れたようだ。

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早速鎮痛剤を飲むことにしました。飲むと歯茎の痛みは和らいだものの、今度は頭痛がしてきました。なんか調子が悪い。起きているよりも寝ていた方がいいかも。こたつで横になりつつ、録画した映画を見ようとするものの、じっとしているとごりごりと歯茎の中を削られた感触がよみがえってくるし、歯茎から血がにじんでくるのか口の中が血の香りがしてなんとも不快な状態。頭痛もするし、これはつらい。そうこうしているといつの間にかフェードアウトしていました。

夕方目が覚めると頭痛や歯茎の痛さは引いていて、口の中の違和感もかなり和らいでいました。これは快方に向かっている感じだな。まずは一安心。さっきまでは腫れ上がっていて触る気もしなかった唇もだいぶん違和感がなくなってきたので、少しめくって鏡を見てみると、なんか赤い線が結構大きくありました。思ったよりも大きく切ったんだ。それも三カ所も。長かった治療のことを考えると納得。なんか痛々しい跡だな。長く見ていると気分が悪くなりそう・・・。

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昼間寝てしまったので、夜になっても困ったことに眠くない状態。治療後3時間以上は運動したり、食べたりしてはいけないといっていたけど、もう夜だから酒を飲んでもいいよな。どうせ明日消毒に行かなければならないんだから、今のうちにアルコール消毒しておけば治りも早いかも。ってことで寝酒することに。深酒をして脈と共に歯茎がずきずきしてきたりしては大変。そのへんは経験上分かっているので適度に飲んでいたら、あっという間に睡魔が。やっぱり体は治癒のために睡眠を欲しているんだろうな・・・などと酔っぱらいながら思いつつ床についたのでした。

翌朝起きると、顔がパンパンに腫れ上がって・・・、といった重大な事は起こっていなく、まずは一安心。やはり昨晩行ったビールでの消毒が良かったのだろうか。うむ。あまり違和感を感じなく起きたものの、口を開けたりすると突っ張った感じがして、そういえば手術をしたんだっけなと思い出すといった状態でした。これなら大丈夫だろう。手術は大成功ってやつに違いない。ただ上唇の腫れは引いていなく、ある意味歯茎よりも気になる状態でした。一日経っても治らないとは、よっぽど強い薬品やけをしたのだろうか。口の中の怪我はすぐに治るものだし、そのうち直るだろう。気にしないようにしました。

今日は遅番なので、出勤前に歯医者に寄って消毒をしてもらいました。昨日の今日なので、私の姿を見つけるとすぐに両方の先生が確認に来てくれました。傷口はきれいなので大丈夫。すぐに良くなるだろうとのこと。これで一安心。お互いに一苦労を乗り越えたので、自然と笑みが漏れるというものです。今回は患部の確認と消毒液を塗るだけなので5分とかからずに診察は終了しました。

そのまま職場に行くと、みんな良くない方に期待していたのか、顔が腫れていないじゃないとガッカリしたような対応。まあ大袈裟に歯茎の手術を受けるとしゃべってしまったものだからしょうがないとしても、何だかなといった感じ。でも横から見ると上唇が腫れているので、見る人から見ればちょっと違和感があるはずなのですが・・・・、まあそこまで私の顔を普段から気にかけているなんていないので、多くの人が違和感を感じなかったに違いありません。

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三日目の朝になると歯茎の方は違和感がなくなったものの、上唇の腫れの方は未だに収まらず、ちょっと気になる状態。なんかたらこ唇になってしまった感じというか、唇が上を向いているような違和感があるというか、いい加減に治って欲しい。薬は三日分なので、朝の分を飲んでしまうとなくなりました。肝心の歯茎の方は全くと言っていいほど違和感がなくなり、もう薬がなくても問題ないかなといった感じです。

そして一週間後、抜糸のために歯医者を訪れました。歯茎の状態を見て、問題ないので抜糸しますと告げられ、糸を一本ずつ抜いていきました。三カ所の糸を抜くのでチクッとした痛みを三度味わわなければならなく、これが結構痛く、自然と涙目になってしまうものです。抜糸を終えると今日も消毒液を塗られて終了。唇の腫れも引いたし、今のところ何も問題ないとか。ここで何か問題でも起きれば壮大な歯医者日記が更に深さを増すというものですが、残念残念。なんて強がってみたりするものの、実際にそうなったらかなり落ち込むに違いありません。

更に一週間後歯医者を訪れると順調に快方に向かっているとのこと。今日は全体的に歯を磨いてもらい、消毒を塗ってもらって終了。普段の生活的には何も違和感なく過ごせているのでいいのですが、切った場所の付近を押さえると、なんかぷにゅぷにゅと柔らかい感触がするのがちょっと気持ち悪い。骨がないからなんだろうけど・・・、やっぱり気持ち悪い。

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その後、診察間隔が開けられ、何度か診察を受けた後、完全に歯茎の状態が良くなったと判断したようで、仮歯状態の前歯に差し歯を取り付けることになりました。「歯の素材はどうしますか?」との問いに、「いつものやつで」なんて答えたら格好いいのかどうか分かりませんが、仕方なく高いセラミックを選びました。前回は9万だったのですが、今回は値上がりしていて10万だとか。なんでも新しくなって性能が良くなったとか。

性能って言われても???といった感じなのですが、プラスチックのを付けて歯ぎしりをした時に砕けて、また付け直しといったことが嫌なのでしょうがない。いや、むしろ今の仮歯でもいいではないか。見た目には分からない状態だし、千円だし、壊れたらまた付けてもらえばいい。そう思ったのですが、やはりこういうのはきちんと付けないと後で面倒となって自分に返ってくるもの。きっと口にしても同じような返答が先生から返ってくると推測できるので、口にはしませんでした。

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型を取って2週間後、新しい前歯が出来上がり、それを取り付けてもらいました。初めは狭いところへ割り込んできたといった感じで、ちょっと圧迫感を感じたのですが、少しずつ調整していき、なんとかあるべき場所に収まることが出来ました。そしてかみ合わせを念入りに調整し、今日は終了。やっぱり仮歯とは違って舌触りがいい。つるつるして他の歯と違和感を感じません。さすが10万もするだけはある・・・。

10万か・・・。ふぅ~。値段を考えるとちょっと憂鬱になります。10万もあれば色々と欲しいものが買えるな・・・。毎度毎度さし歯の出費の時にはそう考えてしまい、ため息が出てしまいます。なるべく考えないようにしようと思うのですが、貧乏性というか、有り余るほどお金を持っていないので、やっぱり一週間ぐらいは気になってしまうものです。

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その一週間後、治療を受けに行き、再び差し歯のかみ合わせを調整しました。ちょっと裏側の根本部分を削ってもらおうと思っていたのですが、そんなことは言わなくても分かるといった感じで、紙をかんで歯ぎしりをさせられ、それを見て問題の場所を削ってくれました。さすがプロだな。素人の出る幕ではない。改めて思ってしまいました。

差し歯の調整が終わると、先生が「差し歯の状態もいいですし、歯茎の状態もいいです。」と言い、続けて「これで終わりにしてもいいのですが、歯茎のこともありますので念のため一ヶ月後に点検をさせてください」と言い、その後歯のクリーニングを念入りに行われ、治療が終わりました。一ヶ月先の予定なんて今分からないけど、しっかりと予約を入れさせられたところをみると、私の歯医者行きたくない病の事を知っているのだろうか・・・。歯医者からの帰り道ちょっと気になってしまいました。

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今回もまた約半年も通院するような治療となり、更には手術も受け、差し歯も交換し、治療費もかなりかかってしまいました。全く持って精神的にも、肉体的(手間)にも、金銭的にも忍耐の治療といった感じでした。もし歯が折れるような事故に遭わなければこんな苦労をすることもなかったのに・・・と考えてしまうものですが、実際こうなってしまったので今更どうこう言ってもしょうがありません。

本当に歯が折れると不幸です。交通事故などで歯が2本折れると確か100万円ぐらいの慰謝料がもらえるはずです。結構な金額だなと思うかもしれませんが、今回の私の治療のように、何年か後に差し歯の交換をしなければならなかったり、膿がたまって大変な思いをしたり、何ヶ月も通院しなければならなかったりと金銭的にもそれ相当かかってしまいます。

それに不便な思いや痛い思い、そして痛い治療を何度も受けなければならなかったりと、高額の慰謝料をもらった時はいいかもしれませんが、後々考えると釣り合わないぐらい不便な思いをします。それが真実なのです。改めて歯の慰謝料が高い理由が分かった気がしました。みなさんも他人の歯、もちろん自爆を含めて、歯を折るような事は絶対しない方がいいです。不幸にも前歯を折ってしまった人は10年後、20年後に不幸が訪れるかもしれないので覚悟しておいた方がいいかと思います。

~~~ 第13章 忍耐の歯根嚢胞  完 ~~~

「第14章 後書き(歯医者についての考察)」につづく →

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<ぶちぶち歯医者日記 第13章 忍耐の歯根嚢胞 2013年5月初稿 - 2015年9月改訂>